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生活クラブ浦和の「近現代史連続講座」 善方一夫先生の講座のレポートです。

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売買春の構造と公娼制度
5/22 6/12
昭和恐慌の時期のどの本を読んでも売春婦のことが出ていません。
必ずあったと思うので調べてみたのですが、そのきっかけは「歴史と真実」という本です。千葉大学の美術史の先生で若桑みどりさんという方がこの本の中に出ています。

私にとって思い出のある本で、1997年、今から14年前この若桑みどりさんの講演会が浦和であってお話を聞きました。
「女性と戦争」というお話でいくつかお尋ねしたと思うんですが、終わった時に先生が私を呼んでくださって、私にその本をくださったのです。

  6月12日

不況の時に最下層の女性が自分の体を売ったことがあるだろうと思い、改めてこの本を読み、手元の資料集や昭和史の記録を読み返しました。

1.売買者産出の構造

①ローマ時代の法律に既に売春の記述

・東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス534年「ローマ法大全」公布
・533条(売春の定義)
 「相手を選ばず金銭のために公然と身体を提供すること」
 
②支配する側の組織的売春

・人身売買業者、売春斡旋業者、売春宿経営者、ひも

③売春企業が成立する社会的要因
    ↓
 赤字にならない優良企業

(売春する女性側の社会的要因)

1.貧困

2.女性の身体で金銭を得ようとする家族(家長)の存在

3.強姦、姦通などによる”堕落”のレッテル貼りにより
  社会復帰の道を断たれ、娼婦に売られる習俗、
  これを支える倫理

4.女性が経済的自立の不可能

(買春する男性側の社会的要因)

5.単婚(一夫一婦制)の存在
  売春は家父長制度下における必然的制度
  女性を「子どもを産む性」「快楽を得る性」に二分し
  男性の性的自由のみ肯定

 ※明治まで重婚が認められ姦通は女性のみの罪

6.男性中心社会で男性も産業界での絶対服従の疎外感

7.なぜ女性の身体を買うのか

  人類は移住生活時は男女が対等であったが
  定住生活を始めて男性は土地を広げ権力を持ち
  女性を交換価値のあるモノと発見
  (レヴィ・ストロース「親族の基本構造」)

  女性の身体をモノとして扱うことは
  歴史的、社会的に普遍的な観念である
  (ゲルダ・ラーホー「男性支配の起源と歴史」)

      ↓↓↓
 これらが資本主義社会においては金銭による女性身体の
 売買によって利益を追求する売春組織の成立の基盤に

8.結婚できない男性の存在

  貧困、社会的不平等、弱者差別などにより結婚不可

9.軍隊など性の不均等な強制的集団の形成

  従軍慰安婦問題など


2.公娼制度の理論的根拠

①ローマ帝国の公娼制度の始まり

・若い子の無知と貧困につけこんで、巧みに誘惑、契約によって縛り
自由を剥奪、衣食は不足、報酬はピンハネ、極悪非道の仲買業者

・基本的に為政者の皇帝は弊害の少ない売春制度の確立で
 国家事業として売春制度を取り込むことになった

②日本では16世紀末、秀吉の時代に始まる

・天正年間に京都に遊女屋を認める

・徳川幕府は「遊郭」として制度化

  1617年、人形町に吉原遊郭出来る(秀忠の時代)
    18C 遊女  2500人
     ↓
    19c 遊女  7197人

  1641年、京都の島原に遊郭出来る(家光の時代)

・遊郭は1872年(M5)娼妓解放(牛馬ふりほどき)により廃止

・新たな公娼制度を整備、強化

  大正末期から昭和初期にかけて全国に534か所
  そこで働いていた公娼の数は4万8677人

 ※平安時代には庶民だけでなく天皇家も遊女と遊んでいた
   白拍子と白河上皇との間に子どもが出来
   平忠盛に下賜され、生まれたのが平清盛
   

③公娼制度の理論的根拠

・古代ローマ

 「法秩序・良俗の遵守・税収入」
 (ローマの法律家ソロン)

・中世

 「君主たちが金に困っていた事情を考えれば
  売春が繁盛した理由がわかる。
  売春は莫大な収入をもたらす」
  (マンシニ「売春の社会学」)

・近代

 「公娼制度擁護の論点は『家庭の安泰』と
  『自由な性関係がもたらす弊害の阻止』」
  (バーナード・マンデヴィル「公営売春宿擁護論」)
  ※弊害=私生児、性病。子女の堕落

 「公営になれば違法性がなく社会の害にならない。
  売春で儲けるの女性、危害は男性、
  そうすればイギリスの娘たちが身を汚すことなく済み
  よその女を試したいという好奇心を満たす」
  (バーン&ブーロー「売春の社会史」下)

   ↓↓↓

総じて売春の国家的運営の目的は、国民の性の統御にある
それはまず一夫一婦制(単婚)システムの崩壊を防ぐことであり
なおかつ男性の側の多妻制を合理的に可能にすること

また妻・娘の性愛の防壁を作り嫡出子を確保することが出来る
そのため社会の下層もしくは周縁の女性を娼婦として集め
「家庭」の女性から分断する

分断された女性たちは互いの領域に閉じ込められ男性のみが
この両世界を往来する
これを国家的に行うのは家父長制国家の遺児に重要であった

また公娼制度はすべての売春婦を登録させる
この登録制の目的は国家が売春婦と言う身分に
その女性を規定し警察の管轄下に置いた
登録された前歴は以後の人生の希望を挫いた


④日本の公娼制度の終わり

・1947年(S22)12.2国際連合は「売春廃止条約」を提案
 60ヶ国が批准

 6条 すべての登録制度の廃止

・1956年(S31)5.24売春防止法公布、翌4.1施行
 1958年4.1罰則付売春防止法施行により
 全国約39,000軒、従業婦12万人消える


<参照・引用文献>
「歴史と真実」筑摩書房
 『従軍慰安婦問題~ジェンダーの視点から~』若桑みどり
「近代日本総合年表第二版」岩波書店
                        他

未分類 | 21:06:43 | Comments(0)
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